2024年9月16日から、世界中190カ国以上で『火垂るの墓』がNetflixで配信されるようになりました。
しかし、日本ではまだ配信されていません。
このように、他の国々では見られるのに、なぜ日本では見られないの?と、思いませんか?
その理由には、スタジオジブリと配信サービスの間での特別な契約が関係しています。
本記事では、なぜ日本で『火垂るの墓』をNetflixで見られないのか、その複雑な背景をわかりやすく解説していきます。
目次
Netflix火垂るの墓
まずは「火垂るの墓」が、いつ、どのように、放映されたのかを見て行きましょう。
『火垂るの墓』は、スタジオジブリの4作目の長編アニメーション映画です。
1988年4月16日に、スタジオジブリは『となりのトトロ』と『火垂るの墓』を同時上映しました。
『となりのトトロ』は宮崎駿監督による作品で、昭和30年代の日本を舞台にしたファンタジー作品です。
一方、『火垂るの墓』は高畑勲監督が野坂昭如の短編小説を原作に映画化した作品で、第二次世界大戦末期の神戸を舞台に戦災孤児の兄妹の悲劇的な運命を描いています。
涙なしには見られない映画ですよね。
この2作品の同時上映は、当時のスタジオジブリの親会社である徳間書店が『となりのトトロ』の企画を地味だと難色を示したため、鈴木敏夫プロデューサーが別作品との2本立て興行を提案したことがきっかけでした。
この組み合わせは、ファンタジー作品と戦争をテーマにした作品という、全く異なる味わいの2作品を同時に上映するという点で、当時としては非常に珍しい試みでした。
この同時上映は、スタジオジブリの歴史において重要な出来事となり、両作品ともに後に日本アニメーション史に残る名作として高く評価されることになりました。
火垂るの墓なぜ日本で見れない!
スタジオジブリの代表作ともいえる「火垂るの墓」が、なぜ日本のNetflixで見れないのか、その理由には複雑な配信契約が関係しているようです。
ここでは、その背景と理由について詳しく解説していきます。
理由:日本テレビが日本国内での放映権を保有しており、放映権や配信権に関する複雑な権利関係が存在するためです。
スタジオジブリ作品の配信権が地域ごとに異なる契約となっており、日本国内ではNetflixがその権利を持っていないためです。
海外での配給権はフランスの映画販売会社ワイルドバンチ・インターナショナルが持っています。
テレビ放送での視聴機会: 日本テレビは「金曜ロードショー」などで定期的にこの作品を放送しており、ストリーミングサービスでの配信の必要性が低いとされています。
ジブリ作品は、日本テレビが「金曜ロードショー」の枠で独占放送しています。さすがに現在ではかつての30%を超えるような高視聴率は望めないものの、それでもコンスタントに2ケタの視聴率をマークしていて、相変わらずキラーコンテンツとしての実力を発揮しています。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/9c359a65a820c91b3e7ee1e4891454baac211fcf
また、日本テレビ系列での放送は、終戦の日前後に行われることが多く、特別な意味を持つ作品として扱われています。
火垂るの墓:視聴不可の理由を調査
【権利の複雑さ】
複数の権利所有者:『火垂るの墓』の出版権と著作権は、新潮社と原作者の野坂昭如が保有・管理しています。
著作権法において、作品の著作権は原則として原作者に帰属します。
しかし、出版物の場合、出版社である新潮社も出版権を持ち、著作物の複製や頒布に関する権利を有します。
したがって、この作品の利用には、野坂昭如氏と新潮社の双方の許諾が必要となると考えられます。
制作は(スタジオジブリ)、日本での放映権は(日本テレビ)、配給権は(海外の配給会社)など、複数の権利所有者が存在しているようです。
契約の違い:これらの権利所有者との契約内容が異なるため、他のジブリ作品と同じように配信できない状況になっていると考えられます。
【地域ごとの契約】
地域制限:放映権や配信権は国や地域ごとに異なる契約が結ばれており、視聴可能な作品が地域によって異なります。
そのため、ストリーミングサービスへの影響が生じ、ある国では視聴できる作品が、別の国では視聴できないという状況が生じます。
著作権法は各国で独立しており、国際的な条約(ベルヌ条約など)に基づく共通の原則はあるものの、具体的な運用や保護期間は国ごとに異なります。そのため、放映権や配信権も国や地域ごとに個別の契約を結ぶ必要があります。これにより、ある国では配信が許可されていても、別の国では許可されていないという状況が生じます。
本記事の内容は、公開されている情報や一般的な知見に基づき、推測を含めて作成されています。権利関係や契約内容の詳細は公表されていないため、実際の状況とは異なる可能性があります。正確な情報や最新の状況については、公式の情報源や関係各所にてご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、法的な助言を提供するものではありません。
大きな要因として考えられるのが以下のことだと考えられます。
『火垂るの墓』が日本でNetflixで視聴できない主な要因の一つは、放映権が日本テレビにあることです。
具体的な理由は以下のとおりです。
放映権の所有
- 日本テレビが『火垂るの墓』の日本国内での放映権を保有しています。
- スタジオジブリは2023年10月6日付で正式に日本テレビの子会社となっています。
- 日本テレビはこの作品を自社の番組枠(例:金曜ロードショー)で定期的に放送しており、視聴者を引きつける重要なコンテンツとなっています。
- そのため、ストリーミングサービスへの配信権を他社に提供することに慎重であり、独占的な映権を維持しています。
- 火垂るの墓だけでなくジブリ作品全般です。
- 日本テレビはスタジオジブリの経営をサポートしつつ、ジブリのブランド価値を守り、作品制作を支援しています。
日本テレビ放送網(日テレ)は9月21日、『となりのトトロ』などの製作元として知られるスタジオジブリ(東京都小金井市)を子会社化したと発表した。
引用元:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2309/21/news161.html
海外での『火垂るの墓』の配信状況
X(旧:Twitter)などで海外からの賞賛の声が上がっています。
海外でのジブリ作品の配信状況を調べてみました。
『火垂るの墓』は2024年9月16日から、世界190カ国以上でNetflixを通じて視聴できるようになりました。
日本では依然として配信されていないため、視聴する場合は他の方法(テレビ放送やレンタル)を利用する必要があります。
この配信は、Netflix、スタジオジブリ、そしてフランスの映画販売会社ワイルドバンチ・インターナショナルの3社間の契約に基づいています。
アメリカではストリーミングサービスでジブリ作品が見れます。
HBO Max(現在は「Max」)での配信
HBO Maxは、スタジオジブリの作品を全米で独占配信する権利を持っています。
この契約は2019年に発表され、2020年春からサービスが開始されました。
ジブリ作品がストリーミングサービスで配信されるのはこれが初めてのことです。
HBO Maxで配信されるスタジオジブリの作品は以下の21本です。
【配信中の作品一覧】
- 風の谷のナウシカ
- 天空の城ラピュタ
- となりのトトロ
- 魔女の宅急便
- もののけ姫
- 千と千尋の神隠し
- ハウルの動く城
- 崖の上のポニョ
- かぐや姫の物語
- 猫の恩返し
- コクリコ坂から
- ホーホケキョ となりの山田くん
- 海がきこえる
- おもひでぽろぽろ
- 平成狸合戦ぽんぽこ
- 紅の豚
- 借りぐらしのアリエッティ
- ゲド戦記
- 思い出のマーニー
- 耳をすませば
- 風立ちぬ(2020年秋に配信予定)
- これらの作品は、HBO Maxで高画質で視聴可能です。
視聴オプション:これらの作品は、日本語音声と英語吹き替え、英語字幕で視聴可能です。
『火垂るの墓』の特殊なケース
HBO Maxでの未配信: 『火垂るの墓』は、HBO Maxでも配信されていません。
日本でNetflixを利用していると、スタジオジブリの作品や『火垂るの墓』が視聴できないのは残念に感じますよね。
これまでテレビで無料で見られていたことを考えると、放映権の問題で仕方がないと思いつつも、やはり好きなタイミングでお気に入りの作品を楽しみたいという気持ちがあります。
今後、権利関係や配信契約が見直され、Netflixなどのストリーミングサービスでスタジオジブリの作品が視聴できるようになることを期待したいものです。
まとめ
『火垂るの墓』が日本のNetflixで視聴できないのは、複雑な権利関係と地域ごとの配信契約が原因です。
日本では新潮社や日本テレビが権利を持っており、スタジオジブリは原作の出版権や著作権を保有していないため、ストリーミング配信が難しい状況です。
アメリカでも、他のジブリ作品はHBO Maxで配信されていますが、『火垂るの墓』は配給権の関係で配信されていません。
このように放映権や配信権の所有者や契約内容によって、作品がどのサービスで視聴できるかが変わるようです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。